【1月26日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は25日、米アラスカ(Alaska)州の広大な区域を原生地域に指定し、連邦政府による最高レベルの保護の対象とするよう提言する意向を表明した。油田開発推進派から反対の声が上がることは必至とみられる。

 北極圏国立野生生物保護区(Arctic National Wildlife Refuge)内の公有地500万ヘクタールが自然保護区域として扱われることで、豊富な石油資源が眠る同地域での道路建設や掘削を含む開発は禁じられることになる。

 オバマ大統領は、インターネット上に投稿された動画の中で「当該地域を自然保護区に指定し、この素晴らしき自然が将来の世代のために確実に保存されるよう、確実な一歩を踏み出すことを議会に要求する考えだ」と語った。

 米内務省によると、議会で承認された場合、50年以上前に保護地域の分類が設置されて以降、最大の指定になるという。

 約800万ヘクタールの広さの北極圏国立野生生物保護区には、ホッキョクグマ、オオカミ、カリブー、ジャコウウシの他、200種以上の野鳥、42種の魚などを含む数多くの生物種が生息している。

 動画でオバマ大統領は「この環境は非常に壊れやすい。内務省が同保護区を確実に保護するための包括的な計画案を提示したこと、さらに海岸平野部を含む新たな地域を保護区域に指定しようとしていることを誇りに思う」と語っている。

 同保護区の285万ヘクタールはすでに原生地域に指定されているが、多数の野生生物が生息するアラスカの海岸平野部はこれに含まれていない。

 サリー・ジュエル(Sally Jewell)内務長官は「ヨセミテ国立公園(Yosemite National Park)やグランドキャニオン(Grand Canyon)と同様に、北極圏国立野生生物保護区はわが国の至宝の一つであり、われわれにはこの壮観な地域を末代まで保存する義務がある」とコメントしている。

 一方、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)によると、アラスカ州選出の共和党上院議員で米上院エネルギー天然資源委員会(Senate Energy and Natural Resources Committee)の同党筆頭委員のリサ・マコウスキー(Lisa Murkowski)議員はすでに、この動きに対して怒りを表明しているという。

 同議員は23日、ジュエル内務長官に「これから起きることは、わが州の主権、さらには住民とその子どもや孫たちの繁栄を可能にするわが州の経済発展に対する驚くべき攻撃だ」と述べている。(c)AFP