【10月2日 AFP】米アラスカ(Alaska)州の海岸に少なくとも3万5000頭のセイウチが上陸し、専門家らは1日、気候変動による北極の氷の融解に起因する現象と指摘した。

 セイウチは当初、1か所の海岸で1500頭ほどが数えられていたが、この数日間で頭数が急増。「北極海洋ほ乳類航空調査(Aerial Surveys of Arctic Marine Mammals)」プロジェクトのミーガン・ファーガソン(Megan Ferguson)氏は、「われわれの最良の推定値では、およそ24倍の増加だ」と語る。

 米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)は声明で、「気候変動による温暖化により、セイウチの大規模な上陸は、過去8年間のうちの6年で非常に見慣れた光景になってしまった」と述べ、通常であれば、セイウチは豊富な餌場により近い氷原に上がるだろうと付け足した。

 USGSによると、夏季の海氷は、米国とロシアの間のチュクチ海(Chukchi Sea)の大陸棚海域のはるか北に後退しており、「10年前には発生しなかった状況」だという。

 USGSは、「セイウチは、海底で餌を捕る合間にとる通常の休息のために、海岸に上陸しただけだろう」としている。(c)AFP