小さな村マグ(Magu)に住む女性、マゲ・ベンゲさんは5年前、両親を殺害するために呪文を唱えたと糾弾され、襲撃された。男たちはベンゲさんを山刀で切り、放置して死なせようとした。「それは私の相続財産、ウシ、農地のためだった」と語るベンゲさんは、もしも自分が呪術を使えたのなら、自分の身を守ったはずだと言い添えた。

 ベンゲさんの顔は傷だらけになった。今でもベンゲさんを襲った男たちの何人かが、自由の身で村を歩いているのを見かけるという。「男たちは私を痛めつけ、私の財産を奪った。かつては自分で農地を耕作できたのに今、私は物乞いだ」

■治療師の役割

 政府による呪術の禁止には、薬草などを使って病気の治療をする伝統的な治療師(ヒーラー)は含まれていない。政府の調査によれば、国民の3分の2が治療師を利用しているという。

 小さな小屋の中、伝統的なヒーラーのハナ・マゾヤ(Hana Mazoya)さんは呪術師のふりをする悪質な人々がいると警告を発した。「もしも(呪術師が)患者に対して『あなたは誰かに呪術をかけられた』と言えば、2人の間の衝突を作り出すことになる。そこから殺人が起きる」と、黒く長い羽の冠をかぶったマゾヤさんは語った。

 マゾヤさんは未来を予知することができるという。だが、自分を導く精霊たちは魔女を糾弾するという危険な行為には手を出さないと語る。「私の精霊たちは、魔女たちのことは知らない」とマゾヤさんは述べた。(c)AFP/Erin BYRNES