【1月23日 AFP】米カリフォルニア(California)州公衆衛生局は22日、同州アナハイム(Anaheim)にある人気テーマパーク「ディズニーランド(Disneyland)」周辺で、米国ではすでに根絶が宣言されているはしかの感染例が急増していると発表し、予防接種を受けるよう呼びかけた。

 同公衆衛生局のウェブサイトによると、昨年12月末以降、59人のはしか感染が報告されている。うち42人は、「ディズニーランドまたはディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーパーク(Disney California Adventure Park)と関係があった」といい、5人はディズニーの従業員だった。

 最初の感染例は12月だったが、その後感染が確認された患者らは、感染力が残る状態で1月にディズニーランドの各施設を訪れていた。はしかは非常に感染力が強く、体に直接触れなくとも空気を通じて他の人に感染する。症状は通常、発熱から始まり、せきや鼻水、結膜炎や発疹が生じる。

 同公衆衛生局は、感染例が相次いでいることから、はしかの予防接種の必要性が改めて示されたとしている。過去のワクチン接種歴が分かった34人のうち、28人が接種を受けていなかったという。

 米国では2000年以降、はしかは公式に根絶されたとされてきた。その一方で、欧州やアフリカ、アジアなど他の地域では、現在も感染が広がっている。2014年、米国のはしか感染者は644人に上り、2013年に比べて急増した。

 米紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)の調査によると、米カリフォルニア州オレンジ郡(Orange County)の学区では、幼稚園児の9.5%が個人的な信条を理由にワクチン接種の対象から除外された。また同州サンタモニカ(Santa Monica)とマリブ(Malibu)の学区では、同様の理由で除外された児童の割合は14.8%に上り、米全体の3.1%を大幅に上回っている。

 また近年北米を中心に、はしかやおたふくかぜ、風疹(ふうしん)を予防する新三種混合(MMR)ワクチンが自閉症の原因になるとの懸念から接種を避ける傾向も見られている。だがこうした懸念を否定する研究結果は数多く、カリフォルニア州公衆衛生局は「科学界における明白な意見の一致は、ワクチンと自閉症との間に何の関連性もないということだ」と述べ、ワクチン接種を呼び掛けている。(c)AFP