【11月2日 AFP】エボラ出血熱をめぐるパニック、騒がれた割に陰性という結果だった感染検査、隔離に関するあら探しがここ数週間続いた米国で、保健当局が新たな戦いに身構えている──インフルエンザの季節的流行だ。

 インフルエンザの流行期は例年10月の終わりに始まり、鼻づまりやくしゃみ、発熱、身体の痛みといったおなじみの症状が増える。春に入っても流行期が終わらないこともある。

ただ、今年は2つの理由で状況が異なる。第一に、9月に米テキサス(Texas)州に渡航したリベリア人男性によって西アフリカのエボラ感染が米国に飛び火し、治療を担当した看護師のうち2人が感染した。

第二に、夏の終わり頃から呼吸器疾患をもたらすエンテロウイルス68型(EV-D68)感染が米国で広がり、米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)によると、8月以降の感染者数は46州の合計で1100人を超えた。感染は国内の大半で下火になっている反面、カリフォルニア(California)州など7州では依然として感染者が増えている。

 エンテロウイルス68型は、少数の子供の患者が四肢筋力低下や神経疾患を起こしたことと関連があるとみられている。エンテロウイルス68型のワクチンはまだない。エボラの治療薬や予防薬も市場には存在しないが、実験的なワクチンの開発が急ピッチで進められている。

 1シーズンで上記の3つの感染症全てに直面するとの予想を踏まえ、CDCは感染リスクの理解を促す啓発活動に乗り出すとともに、今年もインフルエンザ予防接種を受けるよう国民に呼び掛けている。

 CDCの報道官は電子メールでAFPに対し、中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory SyndromeMERS)や重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory SyndromeSARS)の流行で不安が広がった過去の状況に言及しながら、「今季は季節性インフルエンザとエボラについて、国民の間に不安や混乱が生じる恐れがある」と指摘。その上で、米国民がインフルエンザに似た症状を示した場合、エボラではなく季節性インフルエンザが原因である公算がおおむね大きいとコメントした。