調査対象にマクシ人を選んだのは、信念体系や社会経済的な状況が均質な人々が集団を形成しているため。これは、宗教や文化的な差異が結果に影響を及ぼす可能性が低いことを意味する。

 シャハト氏によると、「マクシ人の男性らは概して、女性と比べて束縛のない性交渉を圧倒的に好むという、ステレオタイプ通りの傾向が見られた」。「女性が大勢いる場合のマクシ人の男性は、既に多くの女性と性的関係を持っていながらもさらに多くの女性と関係したいと望むような、典型的とされる男たちだった」という。

 しかし、男性が過半数を占める地域では、違う傾向が見られた。「男性の比率が高くなるにつれ、短期的な関係に対する関心が薄い男性が増えた」といい、「最も男性が多い集落では、男女間の違いはほとんどなくなり、男性も女性も1人のパートナーとの長期的な関係を望むようになった」という。

■男女のステレオタイプは「不適切」

 研究チームによると、調査結果の中には、男性の数が女性の数を上回る場合には男性間の争いや性感染症の患者が増える傾向があるとする従来の見解とは相反するものなど、驚くべき内容もあった。

 だが研究結果は主に、現在広く浸透している男女の役割の認識を否定するものだった。チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)が約150年前に提唱した雌雄淘汰説に端を発する現在の男女観では、女性は好みがうるさいが控えめで、男性は情熱的で性的に奔放とされている。

 シャハト氏は、「男女それぞれに特定の行動形態があるという固定観念にとらわれた推測はもうやめるべきだ」と指摘。「生物学的な性別に基づく性的ステレオタイプ化は、大部分が不適切だ」と述べている。「性別に加え、文化や潜在的なパートナーの数も重要だ」という。(c)AFP