■銃携行用のハンドバッグ

 事故が起きたウォルマートは偶然にも、米最大手の銃小売業者となっている。米国では近年、護身用に銃を買い求める女性が増えており、米世論調査会社ギャラップ(Gallup)によると、女性の15%が銃を所有している。

 女性の銃所有の増加に合わせ、銃を収納するために設計されたファッショナブルなハンドバッグの売れ行きも増加。「ガン・トーティン・ママズ(Gun Tote'n Mamas、銃を持つママ)」という名のブランドもある。

 銃販売員のロビン・ボールさんは地元KREMテレビの取材に対し、2歳児の指の力で引き金を引くことができたことに驚いたと語った上で、考えられる事故要因として、最近の拳銃では一般的な、外部の安全装置がない構造があったのかもしれないと指摘した。

 農村地帯が大部分を占めるアイダホ州は、米国の州の中でも銃所有率が高い部類に入るが、凶悪犯罪の発生率は全米平均を下回っている。同州議会は昨年、連邦法による銃の規制強化を阻止するための法案を可決している。

■銃規制強化は困難

 銃規制を強化する法令が制定される見込みは、今もなお低い。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、東部コネティカット(Connecticut)州ニュータウン(Newtown)の小学校で子ども20人と大人6人が死亡した2012年12月の銃乱射事件を受け、全ての銃購入者の経歴調査を義務づける新法の制定を目指したが、法案は議会の支持を得られず劇的に頓挫。また、軍仕様のアサルトライフル銃を違法化する試みも失敗に終わった。

 一方、他人から見えない状態で銃を携行することを認める州は近年、増加傾向にある。米政府監査院(Government Accountability OfficeGAO)は2011年12月、他人から見えない状態で拳銃を携行する許可証が約800万件発行されたとの推計を発表した。だが2014年6月には、発行された許可証は1110万件を優に超えている。(c)AFP/Veronique DUPONT