【12月29日 AFP】(一部更新、写真追加)ギリシャ沖のアドリア海(Adriatic Sea)で28日早朝、乗客乗員478人を乗せて航行していたイタリアのフェリー、ノーマン・アトランティック(Norman Atlantic)で火災が起き、ギリシャ、イタリア、アルバニア当局が現在も救助活動を行っている。

 同号はギリシャのパトラ(Patras)からイタリアのアンコナ(Ancona)に向かっていたところ、ギリシャのコルフ(Corfu)島北西沖で出火。イタリア海軍によると、フェリーは現在、イタリア南部オトラント(Otranto)から40カイリ、アルバニア沿岸から13カイリの位置にあ
り、これまでに190人が救助された。

 3か国から救助船が現場に到着する中、ギリシャ軍の複数の「シュペルピューマ(Super Puma)」ヘリコプターが救助にあたり、ブリッジから乗客をつり上げて、救助活動の調整に当たっているイタリア海軍の船に移した。同海軍報道官は「天候が非常に悪く、特別な水準の支援を必要とした」と述べた。

 同フェリーはギリシャのパトラを27日午後5時30分(日本時間28日午前0時30分)に出航。ギリシャのイグメニツァ(Igoumenitsa)に寄ってイタリアのアンコナ港に向かう途中、自動車甲板で火災が発生した。195台の車両を積載していたとみられている。火災の原因は分かっていない。

 フェリーを所有する船会社「ビセンチ・グループ(Visenti Group)」のカルロ・ビセンティーニ(Carlo Visentini)社長は28日、伊ANSA通信の取材に対し、技術検査を19日に行い、確認されたいくつかの些細な不備は修正し、船体が完全に作動することを検査で確認したばかりだと述べた。一方で、この検査の際に些細な不備が見つかったのが防火扉の一つで、その防火扉付近が火元だとする情報があるとも述べた。

 イタリア沿岸警備隊はこれまでに、妻とともに避難する際に脱出シュートから海に転落したギリシャ人男性の遺体を収容した。妻は海から救助され、イタリアの病院に搬送された。(c)AFP