■「去るときが来た」

 一方、30代のフランス人トレーダー、オリビエさんは、9月末にモスクワにあるロシアの銀行に転職したことを後悔している。転職の条件として提示された給与と賞与の額面は、申し分ないものだった。

「こいつは良い機会だ、と自分に言い聞かせたんだ。4年間ずっと成長し続けている活気に満ちた市場で活躍できるぞ、停滞しきった欧州におさらばするのも悪くないってね」

 しかし、オリビエさんの着任後わずか2週間で、高額の給与も多額のボーナスも幻想となってしまった。ルーブル建ての給与の価値は、対ユーロで瞬く間に下がってしまったのだ。

 2桁インフレで定期昇給分が相殺される可能性は想定していたかもしれないオリビエさんも、「毎日がブラックマンデーなんて事態は全く予期していなかった」と悲鳴を上げる。

「ロシア人が手持ちのルーブルを丸ごと売却しているのは確かだ。その国の人たちが自国の通貨を見捨てたら、外国人にとっては去るときが来たということだ」。そう語るオリビエさんは既に、帰国便を手配する用意があるという。

「帰国するのは僕が最初だろう。僕は独身で、子どももいないから。でも、他の人たちが出国し始めるのも、そう遠い先の話ではないと思うよ」 (c)AFP/Anais LLOBET