【12月26日 AFP】サウジアラビアで、女性が禁じられている自動車運転をめぐって当局に逮捕された女性人権活動家2人が、テロリストを裁く特別法廷に身柄を移送されたもようだ。匿名の人権活動家筋が25日、東部アル・アフサ(Al-Ahsa)で開かれた公判で移送が決まったと明かした。

 この活動家2人は、今月1日に隣国アラブ首長国連邦(UAE)から車を運転してサウジアラビアに入国しようとして拘束されたルージャイ・ハスルール(Loujain Hathloul)被告と、同被告を支援するためサウジ国境に到着した際に逮捕されたジャーナリストのメイサ・アルアムーディ(Maysaa Alamoudi)被告。

 ハスルール被告の裁判に詳しい活動家の1人は、同被告の公判が「テロリズム法廷に移されることになった」と述べた。被告弁護人が不服申し立てを行う見込みだという。一方、アルアムーディ被告についても別の活動家が、やはりテロリズム特別法廷に公判が移ると語った。

 2人の罪状の詳細はいずれの活動家も完全には明らかにしなかったが、捜査の焦点は2人が車を運転したことではなく、2人のソーシャルメディア活動に当てられているようだという。

■「ネットの敵」

 ハスルール被告は、マイクロブログのツイッター(Twitter)に22万8000人のフォロワーがいる。同被告は、サウジ国境で国境警備隊に止められた後、逮捕されるまでの24時間の「入国待ち」の状況を時にユーモアを交えながら詳細にツイートしていた。

 一方、サウジアラビア出身でUAEで記者として活動するアムーディ被告は、ツイッターに13万1000人のフォロワーがおり、動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)で女性の運転禁止令を議論するプログラムも主催している。

 サウジ当局は今月初め、2人の逮捕を報じた地元人権団体のウェブサイトを閉鎖していた。また、10月には女性の運転解禁を求めて十数人の女性たちが車のハンドルを握る自らの写真をネットに投稿するオンラインキャンペーンを展開したが、これに対しサウジ内務省は「社会的結束」を弱める者に対しては「断固たる措置を取る」と表明している。

 サウジアラビアは、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(Reporters Without BordersRSF)」が今年、政府によってインターネットの検閲や監視が行われている「インターネットの敵国」として挙げた19か国に含まれている。(c)AFP