■W杯が生んだスターと問題児

 W杯はスターを生むが、ブラジル大会では、その座はハメス・ロドリゲス(James Rodriguez)のものと見て間違いないだろう。ロドリゲスは計6得点で英雄となり、特に決勝トーナメント1回戦のウルグアイ戦で決めた、ドライブ気味のボレーシュートは鮮烈だった。

 一方で、大会を汚した問題児に与える称号はひとつもない。コロンビア戦のウルグアイ代表のメンバーにルイス・スアレス(Luis Suarez)の名前はなかった。グループリーグ最終戦のイタリア戦でジョルジョ・キエッリーニ(Giorgio Chiellini)に噛みつき、母国へ強制送還させられていたからだ。

 スアレスはこの嘆かわしい事件の後、金のにおいを、それもプンプンさせながら再び姿を現し、リバプール(Liverpool FC)からFCバルセロナ(FC Barcelona)への大型移籍を成立させている。

 金、もっと言えば金不足は、ガーナ代表を崩壊へ導いた。同代表では、大会中に一部の選手が未払いのボーナスについて抗議し、政府が首都アクラ(Accra)から300万ドル(約3億6000万円)の現金を空輸して、なんとか問題は沈静化した。

 今大会のアフリカ勢は総じて振るわず、アルジェリアとナイジェリアは決勝トーナメント1回戦で、ガーナ、カメルーン、コートジボワールはグループリーグで敗退した。

 個人賞については、大会最優秀選手をメッシ、得点王をロドリゲス、最優秀GKをノイアー、そして最優秀若手選手をフランスのポール・ポグバ(Paul Pogba)が獲得している。

 全体的に見て、ブラジル大会では美しいサッカーが花開いた。2018年大会を開催するロシアにとっては、これに匹敵する大会を開催するという難しい仕事が課されたと言えるだろう。(c)AFP/Nick REEVES