【12月23日 AFP】情熱的でハスキーな歌声で知られた英国出身のブルース/ロック歌手ジョー・コッカー(Joe Cocker)氏が21日夜、70歳で死去した。代理人のバリー・マーシャル(Barrie Marshall)氏が22日、明らかにした。

 所属レーベルのソニー・ミュージックエンタテインメント(Sony Music Entertainment)によると、コッカー氏は肺がんで闘病中だったという。

 コッカー氏の故郷、英イングランド(England)北部の新聞ヨークシャー・ポスト(Yorkshire Post)は、コッカー氏が米コロラド(Colorado)州の自宅で死去したと報じた。コッカー氏は20年ほど前に妻とともに同地に移住していた。

 イングランドの小さなパブで音楽活動をスタートしたコッカー氏の名を一躍高めたのが、1969年に開催された伝説の野外音楽祭、ウッドストック・フェスティバル(Woodstock Festival)で歌ったビートルズ(Beatles)のカバー、「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ(With a Little Help From My Friends)」だった。コッカー氏が歌った同曲は、最も成功したロックのカバー曲の1つに数えられている。

 コッカー氏は自身のライブを映画化した『ウィズ・ジョー・コッカー(Mad Dogs and Englishmen)』(1971)のなかで、両腕を激しく振りながら歌う自分のスタイルが、何も知らない聴衆から神経系に異常があるのではと思われたと話し、音楽は自分を解放してくれた、もし歌手になっていなければ殺人者になっていたかもしれないと楽しげに語っていた。

 その一方で他のヒット曲「ユー・アー・ソー・ビューティフル(美しすぎて、You Are So Beautiful)」や、ジェニファー・ウォーンズ(Jennifer Warnes)とデュエットした映画『愛と青春の旅だち(An Officer and a Gentleman)』(1982)の主題歌「アップ・ホエア・ウィ・ビロング(Up Where We Belong)」などで、コッカー氏は優しく穏やかな歌唱力も見せている。

 代理人のマーシャル氏は「間違いなく英国から生まれ出た最も偉大なロック&ソウルボイスだ」と述べ、コッカー氏の死を悼んだ。(c)AFP/Shaun TANDON