【12月12日 AFP】闇市場で取引されるアフリカサイの角の密輸量が過去13年間で30倍に激増し、今や「手が付けられない」状態にあると、動物保護団体「IFAW(国際動物福祉基金)」が11日、警鐘を鳴らした。

 IFAWでフランスとフランス語圏アフリカ地域代表を務めるセリーヌ・シスレビアンブニュ(Celine Sissler-Bienvenu)氏によると、2013年には1年間で2000頭を超えるサイの角がアフリカから密輸出された。これは、2000年の密輸量の30倍以上に相当するという。

 仏パリ(Paris)で記者会見した同氏は、サイの角の密輸市場について「手が付けられない状態だ。象牙やトラの骨などと同様、非常に組織化されたネットワークが複数存在する。こうした密輸ネットワークは、変化への適応能力がとても高い」と述べた。

 サイの角は人間の毛髪や爪と同じく、たんぱく質の1つケラチンを主成分としている。だが、アジアの一部では粉末状にしたサイの角に薬効があるとして高額で取引されており、近年、需要が急増している。

 アフリカで密猟されたサイの角の闇市場での取引価格は、1ポンド(約454グラム)あたり3万5000ドル(約415万円)程度。コカインや金にも匹敵する価値があるとされる。専門家によれば、需要と価格が高騰している背景には、個体数が1970年比で10分の1以下に減少したことがある。

 シスレビアンブニュ氏は、従来の密売ルートに加え、インターネットが密売人らにとって「年中無休の巨大なスーパーマーケット」になっていると指摘している。(c)AFP