【12月11日 AFP】地球上に存在する水は、数十億年前に地球に衝突した小惑星に由来する可能性の方が、彗星(すいせい)由来の可能性よりも高いとの研究論文を、欧州の研究チームが10日の米科学誌サイエンス(Science)に発表した。

 欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)の実験用着陸機「フィラエ(Philae)」は先月、アヒルのような形をした67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(Comet 67P/Churyumov-Gerasimenko)で人類史上初の着陸探査を実施したが、今回の最新研究は、フィラエの母船である彗星周回探査機「ロゼッタ(Rosetta)」に搭載された分析機器で8月以降続けられてきた同彗星内部の観測に基づくものだ。

 ロゼッタの質量分析計「Rosina」の主任研究員、スイス・ベルン大学(University of Bern)のキャスリン・アルトウェッグ(Kathrin Altwegg)教授は「地球の水は、小惑星によってもたらされた可能性の方が、彗星より高いとの結論を下さざるを得ない」と語る。Rosinaは、67Pに存在する水や他の気体の化学的特徴を示すスペクトルを観測してきた。

 論文は、67Pに由来する水分子が示す原子特性に基づき、その特性が地球上の水と大きく異なっていることを明らかにしている。研究チームは、酸素と結合して水を形成する水素と、水素の重同位体である重水素との割合を測定。67Pは「おそらく太陽系の天体の中で、水素対重水素の比率が最も高いレベルであり、重水素が最も多く含まれる」ことを示していると、アルトウェッグ教授は指摘する。

 67Pの水素対重水素比率は、ハレー彗星(Halley's Comet)で観測された水分子の同比率に比べて30%~120%高い。両彗星は、カイパーベルト(Kuiper Belt)に起源を持つ「木星族」に分類される。

 水素に対する重水素の割合がこれほど高いのは「おそらく67Pが、非常に低い温度で形成されたこと、さらには太陽系のごく初期から存在する原初物質である可能性が高いことを意味すると思われる。したがって67Pは、太陽系の46億年前の姿を探るための本当の宝箱なのだ」と同教授は説明する。

 一方、小惑星に含まれる水の水素対重水素比率はこれより低く、地球上の水により近い値を示す。フランス国立宇宙研究センター(National Centre for Space StudiesCNES)の科学者でロゼッタを研究するフランシス・ロカール(Francis Rocard)氏によると、彗星には水が豊富に存在するが、小惑星はそうではなく、中には水を全く含まないものもあるという。また、これまでに発見されている小惑星の数(65万個)は、彗星(4000個)に比べてはるかに多いと同氏はAFPの取材に語った。

 同氏はAFPに「私にとって今回の成果は、物事を大きく変えるのではなく、これまで考えられていたより少し複雑にするもので、小惑星が地球の水の起源だとする仮説を補強する結果だ」としながら、「水に含まれる水素と重水素の比率は、個々の彗星によって異なっており、小惑星ではその個体差がさらに大きいように思われる。その理由は今のところ不明だ」と話した。

 太陽系で最も原始的な天体で、炭素を豊富に含む彗星は、地球に衝突することで、生命の存在を可能にする要素を地球にもたらした可能性があると科学者らは述べている。

 1993年に承認されたロゼッタ・ミッションの目的は、彗星の組成の調査だ。彗星は、46億年前の太陽系形成時から残存している太古の氷と塵(ちり)の塊と考えられている。(c)AFP