【12月10日 AFP】米中央情報局(CIA)が2001年9月11日の同時多発テロ以降、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のメンバーとされる容疑者らに行ってきた尋問は認識されていたよりもずっと残虐で、有益な情報をもたらすものではなかった――米上院情報特別委員会(Senate Intelligence Committee)が9日、長く発表が遅れていた厳しく批判する内容の報告書を公表した。

 さらに同委員会は、CIAが政府と議会に不正確な情報を伝え、この尋問手法が攻撃の阻止につながったという誤った印象を与えてきたとも指摘した。

 報告書全体のうち機密解除された要旨部分の500ページが公表された。この中で同委員会は「CIAによる強化尋問手法の使用は、正確な情報や収容者の協力を得るための効果的な方法ではなかった」と結論付けている。報告書の公表に当たりバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は、CIAの尋問は非生産的であり、米国の価値観に反する行為だったと認めた。

 一方ジョン・ブレナン(John Brennan)現CIA長官は、2001年9月11日以降にジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前政権下でCIAが過酷な尋問手法を採用していたことを擁護。過失があったことは認めながらも、水責めといった残忍な手法が「攻撃計画を阻止し、テロリストの身柄を拘束し、人命を救うことにつながった情報の入手に確かに貢献した」という見解を示した。

 同委員会のダイアン・ファインスタイン(Dianne Feinstein)委員長は上院に対し、少なくとも119人が「強圧的な尋問手法」の対象となり、「一部は拷問に相当する内容だった」と明かした。

 さらにファインスタイン委員長は、世界のどこかには、邪悪な行為を正当化するため、あるいはさらなる暴力行為をあおるために、公表された報告書を用いようとする者がいるだろうと指摘した上で、「われわれにそれを阻止することはできない。しかし歴史はいつか、われわれの公明正大な法治社会を目指す姿勢と、醜悪な真実を直視し『二度と繰り返さない』と誓う真摯(しんし)さを見て、われわれを評価するだろう」と語った。(c)AFP/Michael Mathes