プレミアリーグの栄光とは遠く、英地元クラブのサポーター人生─アーバントライブ(5)
このニュースをシェア
■クラブは「コミュニティーの中心軸」
だが、新世代のサッカーファンたちは、地元密着という醍醐味(だいごみ)を見出しつつある。
ビアガーデン「ザ・クリミア・イン」にいたアルフィー・コードウェル君(15)は「選手たちとのつながりを感じれば感じるほど、チームへの忠誠心は強くなる」と話す。チェルシーの本拠地であるスタンフォード・ブリッジ(Stamford Bridge)とレクリエーション・グラウンドを比較し「こっちの方がずっと良い雰囲気だし、チャントもずっと盛り上がっている。スタンフォード・ブリッジにも行ったことはあるけど、みんなあまり歌わないね」と力説した。
ドラム担当のブランデルさんもチェルシーのスター選手を引き合いに出し「ここなら好きなセンターフォワードと会話だってできるからね。ディディエ・ドログバ(Didier Drogba)とは握手だってできないだろう」と語り、また別のファンの一人は「僕らの応援がとても重要な意味を持つんだ。入り口で払う入場料が選手の獲得に役立つしね」と説明した。
試合後に関係者を追悼するメーンスタンド裏の庭でインタビューに応じたアジーム会長は「我々はコミュニティーの中心軸のような役割を担っている」と話した。
サポーター集団は、ピッチに現われる対戦相手がどこであれ、一丸となって敵意を見せつけることでいっそう団結する。相手が近隣のクラブならばなおさらだ。ウォキングFCとの一戦ではスタンドの端に警察官が配置され、観客を入れない緩衝地帯を境に隔てられた両チームのサポーターが火花を散らす。
ハードコアなサポーターはどちらも、1980年代から英国のサッカーファンのスタイルとして定着しているジーンズにデザイナーシャツ、白いトレーナーというそっくりな姿で、工夫を凝らした悪態をつき、相手方のゴールキーパーをののしる。
サッカーファンの群集心理に詳しいジェフ・ピアソン(Geoff Pearson)氏は「敵意を向ける相手は必要不可欠。サポーターにとってはクラブの存在価値が増す」と説明する。
アルダーショットは激戦の末に敗れ、うなだれたファンたちは「また次の試合で」と書かれた横断幕が下がる出口を通って、とぼとぼとスタジアムを後にした。サポーターたちにとってショッツのファンであることは「家族」としての義務や市民としての誇りといった類いの事柄だ。ショッツや、そして英国各地で活動する数百もの同じような小規模クラブは今、生き残りを賭けている。(c)AFP/James PHEBY