【12月16日 AFP】中米でコーヒーを栽培する農園の間で、農業排水を原料とするバイオガスが新たなエネルギー源として注目されいる。

 収穫後のコーヒーの実を豆に精製する過程で使用される水は通常、何の処理も行わないまま自然環境へ戻されてしまう。黄色みを帯びたこの排水が甘い味を持つことから、中米の人々はこれを「ハニー・ウオーター(蜂蜜水)」と呼んでいる。

 しかし、高濃度のメタンガスを含むこの水は汚染度が非常に高い。メタンガスは地球温暖化の主要因であり、この場合、その根源はコーヒーの実の果肉の発酵だ。中米を代表するコーヒー生産国の一つ、ニカラグアでは年間130万袋のコーヒー豆を生産しているが、そこで生じる汚染は自動車約2万台分に相当する。

 ニカラグアや周辺国のグアテマラ、ホンジュラスの計19か所のコーヒー農園で現在行われている試験事業では、コーヒーの精製過程で出る排水からメタンガスを分離し、発電機の燃料として再利用している。この試験は2010年に持続可能な農業を目指すオランダの団体「UTZサーティファイド(UTZ Certified)」が、コーヒー栽培における水の使用量を減らし、排水の有効活用を目指して立ち上げたものだ。メタンガスを抽出する装置は数千ドル(数十万円)するが、このうち75%をオランダ政府が支援し、残る25%を現地の協同組合がまかなっている。

 農園や農家によってメタンガスの抽出方法は異なるが、例えばニカラグアの協同組合「ラ・エルマンダード(La Hermandad)」では水の使用量を80%以上削減できた。UTZでは今後、このプロジェクトをコロンビアやペルー、ブラジルでも広げていく予定で、アフリカのケニア、アジア地域ではベトナムでも同様の事業を行うための資金源を探している。(c)AFP/Katell ABIVEN