【12月4日 AFP】国際自動車連盟(FIA)は3日、日本GP(Japan Grand Prix 2014)で起きたマルシャ(Marussia F1 Team)のジュール・ビアンキ(Jules Bianchi)の事故について報告書を発表し、マシンのスピードが速すぎて制御を失ったことが、クラッシュの一因になったと結論づけた。

 ビアンキは豪雨の中、鈴鹿サーキット(Suzuka Circuit)で行われた日本GP決勝の43周目に、ザウバー(Sauber)のエイドリアン・スーティル(Adrian Sutil)のマシンを安全地帯に運ぼうとした撤去車両に衝突した。

 この事故について、10人のメンバーからなるFIAのパネルは、356ページに及ぶ報告書を発表し、1つの結論として「減速が十分ではなかったため、ビアンキはスーティルが事故を起こした同じ場所でコントロールを失った」との見解を示した。

 複数のチームを率いた経歴を持つロス・ブラウン(Ross Brawn)氏、元世界王者のエマーソン・フィッティパルディ(Emerson Fitipaldi)氏が中心になってまとめた報告書では、鍵となる要因がいくつか重なり、ビアンキが時速126キロメートルで撤去車両に衝突する事故につながったと説明されている。

 そのなかには、水たまりによってターン7の走行できる部分が狭まっていたこと、スーティルのマシンの撤去作業中だったこと、ビアンキのマシンの速度が上がりすぎてオーバーステアを起こしたことなどが含まれている。

 事故の衝撃については、「ビアンキのヘルメットがクレーンの根元付近にぶつかった」ことが明かされている。

「その衝撃が甚大だったこと、またかすめるような当たり方だったことから、ビアンキの頭部は減速した後に別の角度から大きく揺さぶられ、それが重大な負傷につながった」

 ビアンキは11月、事故後しばらく置かれていた人工的なこん睡状態を脱してフランスに帰国し、ニース(Nice)の病院で現在も治療を続けている。最新の情報でも、容体は以前と同様、「深刻だが安定している」という。

 報告書ではまた、「救助と救命はすべて手順通りに行われ、その適切な処置がビアンキの生還に大きく寄与したと考えられる」とされ、鈴鹿の医療スタッフの手際が称賛された。

 レースの安全面については、「ドライバーがダブルイエローフラッグ掲示下でしかるべき行動を取れば、選手だけでなく、大会関係者までもがすぐさま肉体的な危険にさらされることはない」とされている。

 それでもFIAはすでに、今季終盤の3戦で試験的に導入したバーチャルセーフティーカーのシステムを、来年から正式導入することを承認している。

 このシステムの下では、大会スチュワードがコースのいずれかの区間が危険な状態にあると判断した際、マシンは自動的に減速することになる。(c)AFP