【11月28日 AFP】交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブック(Facebook)が、世界で10億人を超えるユーザー個人個人にあわせた「パーソナルな新聞」になろうとしていることは、すでに業績低迷に苦しむニュースメディア業界にとってさらなる痛手となるだろう。

 ネット時代に人々が情報を得る手段は大きく変わり、フェイスブックは今や多くのユーザーにとって主要な情報源となっている。

 フェイスブックの共同創設者、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)最高経営責任者(CEO)は11月上旬に開催されたフォーラムで、フェイスブックのニュースフィードを「世界の個人個人に向けパーソナライズされた完璧な新聞」にすることが目標だと語った。

 ザッカーバーグ氏に言わせれば、新聞はすべての読者に同じ情報を提供するが、フェイスブックなら個人の興味に合わせて、国際ニュースやコミュニティーのイベント、友人や家族の近況などをミックスしたフィードを提供できるという。

「ニュースを提供することに対する異なるアプローチだ」と、米紙USAトゥデー(USA Today)の元編集者で、現在はミドルテネシー州立大学(Middle Tennessee State University)コミュニケーション学部のケン・ポールソン(Ken Paulson)学部長は言う。「良いとか悪いとかいうわけではなく、ただ従来の新聞ができないことだ」

 フェイスブックでは、ユーザーにどのニュースが提供されるかの編集判断はジャーナリストではなく、それぞれのユーザーが最も興味があると思われるアイテムをはじき出すアルゴリズムによって行われる。

 伝統的なジャーナリズムの世界では眉をひそめられる方法かもしれないが、メディア専門家の中にでさえ、このほうがより効果的に人々にニュースを提供できると考える人がいる。

「(フェイスブック上のニュースは)身近で、関連性が高く、非常にタイムリーであり、自分自身に関係がある。どんな新聞もそこまでできない」と、シカゴ(Chicago)の日刊紙の元編集者で、現在はデジタルメディア・ベンチャー向けコンサルタントとして働くアラン・マター(Alan Mutter)氏は言う。

 同氏はまた、新聞社は「古代」のビジネスモデルに固執している一方で、フェイスブックのような組織がニュースをよりパーソナルなものにしていると指摘。若い読者は紙のメディアよりデジタルやモバイルのプラットフォームを好むなか、こうしたトレンドは今後も続くだろうと予測している。