【11月25日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は24日、チャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)国防長官(68)の辞任を発表した。オバマ政権に対しては、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の脅威への対応が不十分との批判が上がっていた。

 共和党元上院議員のヘーゲル氏は、就任から2年を待たずに辞任の運びとなった。国防予算を縮小し平時編成への移行監督を任されたはずが、米国は再び戦時に引き戻された。

 イスラム国がシリアとイラクで急速に勢力を広げたことを受けて、ヘーゲル氏は複雑な作戦の陣頭指揮を任されたが、オバマ大統領はヘーゲル氏では不適任という結論を下した。

 オバマ大統領がホワイトハウス(White House)で行ったヘーゲル氏辞任の発表の場には、本人も立ち会い、両氏が相互に合意したという形での発表となったが、政府関係者らはヘーゲル氏の辞任は事実上の更迭としており、また反オバマ派らはヘーゲル氏の方が不満を募らせていたとしている。

 ヘーゲル氏辞任の報を受けて、イスラム国の支持者らは関連ウェブサイトやツイッター(Twitter)で、イスラム国が米国とその同盟国に対して優勢であるためにヘーゲル氏が辞任に追い込まれたとして、ヘーゲル氏に対する「勝利」を祝った。

■後任は?

 ホワイトハウスはヘーゲル氏の後任についてはまだ言及していないが、その候補として3人の名前が取り沙汰されている。

 最も可能性が高いとみられているのは、元国防次官で任命が決まれば同国初の女性国防長官の誕生となるミシェル・フロノイ(Michele Flournoy)氏。次いでアシュトン・カーター(Ashton Carter)前国防副長官の名が挙がっている。

 もう一人の後任候補は、ロードアイランド(Rhode Island)州選出の上院議員で、かつて陸軍空挺(くうてい)部隊の幹部を務めたジャック・リード(Jack Reed)氏だが、広報担当者は報道陣に対し、同氏は国務長官の役職に興味を示していないと話している。

 誰が指名されるにせよ、後任人事承認のための公聴会は共和党議員らがオバマ政権の対イスラム国作戦を非難する場になることだろう。(c)AFP/Dan De Luce, Jérôme CARTILLIER