【11月24日 AFP】冷戦時代(Cold War)のアルバニアの独裁者エンベル・ホッジャ(Enver Hoxha)が造らせた極秘の核防空壕(ごう)が22日、一般公開された。

 約40年にわたったホッジャの支配下でアルバニアは世界で最も孤立した国の一つとなり、西側から攻撃されるという恐怖に取り付かれていた。

 22日に公開された防空壕は首都ティラナ(Tirana)のすぐ東にある山腹の地下に造られている。5つの階からなり、部屋は106室、広さは2685平方メートル。映画室もある。ホッジャの寝室のベッドは赤いマットレスが敷かれ、ベッドサイドに旧ソ連時代のラジオが置かれている。

 この防空壕は、戦争が勃発した際に労働党中央委員会本部を置き、労働党大会を開く施設として、1972年から1978年の間に極秘に造られた。一般公開に当たって案内人は、この防空壕は「本物の5つ星」施設だと説明した。

 共産主義体制の崩壊から24年を経た今、アルバニア各地には防空壕跡が約70万か所も残っている。地元住民が「マッシュルーム」と呼ぶその構造物は数百万人の軍勢の攻撃にも耐えられるものとして造られた。

 消息筋によると、1985年に死去したホッジャは生前、ティラナ周辺に自身と家族のための秘密避難所を少なくとも4か所持っていたという。国防省報道官によれば、ホッジャは1964年の北朝鮮訪問後に防空壕建設を着想したという。

 防空壕の視察を終えたアルバニアのエディ・ラマ(Edi Rama)首相は、全てを公開することを決めたと述べた。国防省の報道官によると、この巨大防空壕は最近までアルバニア軍の「極秘」リストに入っていたが、今後は観光文化省の管轄下に置かれ、防空壕の内部に博物館や、芸術家のための展示スペースも設けるという。(c)AFP