【11月14日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」は13日、最高指導者アブバクル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)師のものとする録音音声を公開した。同師については、イラクで行われたイスラム国幹部を標的とした空爆で負傷または死亡したとの臆測が広まっていた。

 17分間のこの録音ではバグダディ師を名乗る男が、イラクとシリアの一部を掌握するイスラム国は国際社会からの空爆を受けても拡大を継続し、地上戦に持ち込んでいくと誓っている。その声は同師に似てはいるが、本人のものであるかは不明だ。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は先に、イラク軍を助言と訓練の面で支援するため、派遣する米兵の数をこれまでの倍の最大3100人まで増員する計画を発表していた。録音の声の主は、この動きで双方による地上戦が始まったと指摘している。

 イスラム国は、イラクとシリアにまたがる地域で「カリフ制」の国家樹立を宣言した直後の今年7月、バグダディ師がイラク・モスル(Mosul)で金曜礼拝の説教を行う様子を捉えた動画を公開していた。その後、同師の肉声とされるものが公開されたのはこれが初めて。

 これはバグダディ師死傷の臆測を払拭(ふっしょく)する狙いがあるとみられるが、声の主はイスラム国幹部に対する空爆については触れていない。しかし、空爆後にエジプトのイスラム過激派組織「エルサレムの支援者(アンサル・ベイト・アルマクディス、Ansar Beit al-Maqdis)」がイスラム国とバグダディ師への忠誠を表明したことについては言及している。(c)AFP/W.G. Dunlop