【11月13日 AFP】オランダで12日、世界初となる太陽光発電機能を備えた自転車専用道路が試験的に開通した。最終的には車道でも応用することが考えられる画期的なプロジェクトだという。

 この自転車専用道路、通称「ソーラロード(SolaRoad)」には、強化ガラスで覆われた太陽光電池パネルを利用した縦2.5メートル、横3.5メートルのコンクリート製モジュールが使われている。事故を避けるため、ガラスの表面には特殊な滑り止め加工が施されているという。

 道路の太陽電池で発電された電気は現在、国の電力網に流されているが、将来の計画では、この電力を利用して街路灯を点灯させることも検討されている。

 プロジェクトの開発に参加した物理学者、ステン・デウィット(Sten de Wit)氏は、路面から直接充電を行う「非接触型充電」の機能を利用して、電動自転車や電気自動車に電力を供給できる日が来るに違いないと話している。

 同氏はAFPの取材に「プロジェクトの着想は、オランダ国内を走る約14万キロに及ぶ道路だった。その面積は建物の屋根をすべて合わせたよりもはるかに大きい」と語った。また「自転車専用道路は、国内に2万5000キロある」としながら、「プロジェクトの持つ本当の潜在能力が解き放たれるのは、自転車専用道路だけでなく、自動車が利用する道路にもこれが適用される時だ」と述べている。

 ソーラー自転車専用道路は稼働から16日が経過した。この間の発電電力量は140キロワット時で、洗濯機の稼働約140回分に相当するとソーラロードの広報担当者は説明した。

 主に研究費に充てられたとされるプロジェクトの費用は、現時点で約300万ユーロ(約4億3000万円)に上っているが、ソーラロードは道路1キロ当たりでの費用については明言を避けた。

 同国のヘンク・カンプ(Henk Kamp)経済相は12日、首都アムステルダム(Amsterdam)北部にある通行量の多い自転車道に試験的に設置された約70メートルのソーラロードを自転車で走行。AFPの取材に対し、「持続可能エネルギーに関しては、オランダは極めて意欲的に取り組んでいる。この革新的技術もその重要な一環だ」と述べ、人口1700万人、自転車約1800万台のオランダでは、持続可能エネルギーの使用量を2020年までに3倍に増やし、2050年までにカーボンニュートラルならぬ「エネルギーニュートラル」になることを望んでいるとした。

 デウィット氏によると、ソーラロードは今後2年間にわたり、1日に約2000台の自転車が通る道で試験を行う予定。電動の自動車や自転車の台数が増加傾向にある中、国内道路を対象としたソーラロードの商業化を今後5年以内に実現することが、プロジェクトの目標だとしている。

「大規模なスケールで適用可能な製品を5年以内に提供できると強く確信している」とデウィット氏は説明した。(c)AFP/Jan HENNOP