取材記者たちが語るエボラ、「見えない、戦争より脅威」
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■帰国後も恐怖と孤独
「取材」は空港では終わらない。帰国すれば同僚や家族が怯えている。潜伏期間が過ぎるまでは、恐怖と孤独の時間だ。
エボラ出血熱は、症状の出ている人の体液との直接的な接触でしか感染しない。自分が感染したとしても、症状がなければ他人には感染しない。しかしギニアから帰国したジャーナリストのギヨーム・ロテリエール(Guillaume Lhotellier)氏は「潜伏期間の21日間は毎日体温を測る必要があった。ちょっとでもおかしな兆候があると本当に不安になる。社会生活もぱっとしない。熱がなければ感染しないのに、握手したがらない人や、会いたがらない人もいた」と語る。
スイス紙ターゲス・アンツァイガー(Tages-Anzeiger)のヨハネス・ディートリヒ(Johannes Dieterich)記者は、派遣先の南アフリカから帰宅した際に妻がパニックを起こしたため、客間での就寝を強いられた。また監視期間の3週間は誰にも触れなかったという。
さらに、英BBCのアナウンサー、フィオナ・ブルース(Fiona Bruce)氏は、英紙テレグラフ(Telegraph)紙に対し、エボラ流行地域から戻ってきたゲストの担当をメークアップ・アーティストたちが怖がっていたと話している。
エボラ出血熱の流行地域から記者が帰国した場合、潜伏期間中は一律隔離処置を取るべきだとの考えもあるが、この考えについては各メディアで意見が割れている。
BBCとAFPは即時の職場復帰をさせている。AFPのミシェル・レリドン(Michele Leridon)ニュース・ディレクターは「我々の記者はロケに関する非常に厳密な基準を順守している。症状を示した者はいないので同僚へのリスクもない」としている。一方、米APのダニシェフスキー氏は「いかなるリスクも避けられるよう」、帰国した記者に最低3週間の自宅待機を指示しているという。(c)AFP/Laurence BENHAMOU