【AFP記者コラム】77人を殺したノルウェー大量殺人犯からの手紙
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ブレイビクは禁錮21年の有罪判決を受けて服役中だが、延長されて一生を刑務所で過ごす可能性が高い。刑務所から手紙を出すことは許されているが、犯罪を扇動するような内容が書かれていないか検閲されている。また、毎週支給される300クローナ(約4500円)から切手代や印刷代などを払わないといけない。
こうした制約があるなかで、なぜわざわざAFPに手紙を送ってくるのか。
細かいことに病的なまでにこだわる性格から、アルファベット順でメディアを選んだらAFPだったのだろうか?国際的な通信社に訴えれば、自分の声はより多くの人に届くと思ったのか?ブレイビクは事件を起こす前に「世界のニュースの90%はAPとロイターとAFPから流されている」と主張し、「みんなグローバリズムと多文化主義を支持している奴らだ」と嘆いていた。
あるいは、彼は私のことを知っているのか?彼の裁判が行われていた10週間、傍聴席の最前列に座っていたのだから、私のことを覚えていたとしても不思議ではない。弁護士にメールで問い合わせると、「本人に理由を聞いたことはない」と前置きしたうえで、「(手紙の)受取人がどれだけ事件について知識があり、彼が言わんとすることを理解し、伝達できるか。そしてもちろん、各ジャーナリストの記事の影響度と読者層(およびその数)を総合的に判断してのことだろうと思う」との返事がきた。
理由がなんであれ、扱いが難しかったのは3通目の手紙だ。2通目では刑務所での待遇について書いていたが、今回は政治についての内容だった。34ページにわたり、暴力ではなく民主的なやり方で闘うために「ファシスト」党を組織したいと綴っていた。
ここで根本的な問題に直面した。ジャーナリストはこの内容を世間に知らせるべきか否か。