■本土のSNS上では「友達削除合戦」も

 しかし、交流サイト(SNS)フェイスブック(Facebook)での反応を見ていると、抗議運動が本土にまで広がる可能性はわずかだと、香港大学(University of Hong Kong)の学生シンさん(24)は言う。フェイスブックは中国本土では禁止されているが、仮想プライベートネットワーク(VPN)を使えば、政府の巨大な検閲機構を迂回してアクセスできる。

 シンさんはデモの参加者たちが、ソーシャルメディアで進捗状況を更新できるよう、香港の繁華街・銅鑼湾(Causeway Bay)で自分が住むビルの屋上に無料のWiFi(無線LAN)スポットを設置した。そしてこの屋上から撮影した写真をフェイスブックの自分のページに投稿し始めたところ、シンさんのタイムラインは「戦場」と化した。

「香港人は甘やかされていて、感謝が足りない」「中国なしでは生き残れないくせに」「民主主義?おまえたちにはもう十分自由は与えているだろ」といった投稿であふれ、なかには9月28日に香港警察が、傘を差して身を守るデモ隊に催涙ガスを使用したことをあからさまに支持する意見もあった。

 香港の「雨傘革命(Umbrella Revolution)」を支持するシンさんへの怒りをあらわにし、フェイスブックでの交流を断ち切った「愛国的な」中国本土の友達もいたという。

 香港のデモは中国本土でも支持派と批判派の政治的分断を招き、本土のソーシャルメディア上では両者が互いに友達リストからの削除を繰り広げる「削除合戦」の引き金となっていると報じられている。