【10月15日 AFP】世界最大の玩具メーカーとなったレゴグループ(Lego Group)が積み上げるさまざまな「ブロック」は、アジア市場で競合他社に差をつけ、不振に陥っている玩具業界で業績を伸ばすことを目的としている──。

 デンマークに本社を置くレゴは2014年上半期、バービー人形が主力製品の米マテル(Mattel)社を抜き、玩具業界での売り上げが首位となった。勝因の1つは映画『LEGOムービー(The Lego Movie)』の大ヒットで、これをきっかけに子どもたちはレゴに夢中になった。親世代がマテル社のバービーに飽きてしまったこともあるほか、子どもに不健全な身体のイメージや時代遅れの性的役割を植え付けるとの見方も一部にある。

「レゴの奇跡(The Miracle at Lego)」の著者ニルス・ルンデ(Niels Lunde)氏は「レゴがしていることは米アップル(Apple)社と似ている。レゴはおもちゃそのものを作っているのではなく、おもちゃを作るためのおもちゃを作っている。レゴブロックは単なるおもちゃではなく、子どもの創造性を刺激する教材だ」と話す。

 玩具業界は常に順風満帆なわけではない。伝統的な玩具は、ビデオゲームやスマートフォンのアプリとの競争に直面している。フィギュアなどで知られる業界大手の米ハズブロ(Hasbro)やマテル社はこうした動きに、デジタル戦略で適応しようとしている。

 だが、レゴは別の道を選んだ。

 レゴは1990年代に単純なブロックではデジタル時代に生き残れないとの懸念を持った。そこでゲームから子ども服まで事業の多角化を図ったが、この戦略があだとなり同社は倒産の危機に陥り、2004年には、創業者一族のケル・キアク・クリスチャンセン(Kjeld Kirk Kristiansen)氏が8億デンマーククローネ(約146億円)の自己資金投入を余儀なくされている。

 その後、ヨアン・ビー・クヌッドストープ(Joergen Vig Knudstorp)最高経営責任者(CEO)は基本に立ち返った。テーマパーク「レゴランド」などからライセンス料を徴収するなどの工夫を加え、今年上半期の収益は08年上半期と比べ、3倍以上に伸びた。