【10月15日 AFP】14日に行われたサッカー欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)の予選、セルビア対アルバニアの試合で、選手とファンが入り交っての乱闘が発生し、没収試合となった。

 セルビアのベオグラード(Belgrade)で行われたグループIの試合は、前半41分に政治的なメッセージをつけた無人飛行機がスタジアム内を飛ぶと、これが選手とファンの怒りに火をつけた。

 これをきっかけに、両チームの選手がピッチ上で小競り合いを起こし、2万人ほどのセルビアファンが入っていたスタンドからも、発煙筒など様々なものがピッチ上のアルバニアの選手をめがけて投げ込まれた。

 セルビア国営放送(Radio Television of SerbiaRTS)によると、アルバニアのエディ・ラマ(Edi Rama)首相の兄弟であるオルシ・ラマ(Olsi Rama)氏が、今回の一件に関与した疑いで、警察に身柄を拘束されたという。

 エディ・ラマ首相は、試合から約1週間後に、同国の指導者としては68年ぶりにセルビアを公式訪問する予定となっているが、事件はそのなかで起きている。

 RTSはセルビア内務省の談話として、オルシ氏が無人機を飛ばすよう指示したと報じている。「大アルバニア(Greater Albania)」を主張する旗をたなびかせた無人機は、アルバニア側の関係者席の付近から飛ばされた。

 アルバニアの一般サポーターはこの日、セルビアサッカー協会(Football Association of SerbiaFSS)の判断で、2日前に入場禁止が決まっていた。

 セルビアとアルバニアは、かつてのセルビア自治州コソボ(Kosovo)をめぐって緊張関係が続いており、またセルビア南部に住むアルバニア系の社会的少数者は、たびたび自治権の拡大を要求している。

 アルバニアには、同国、コソボ、モンテネグロ、マケドニア、セルビア南部という、アルバニア人の居住地域を統合しようという「大アルバニア」主義を掲げる者たちが存在しており、ベオグラードでも彼らの活動の一端が確認されている。

 セルビアの旧自治州で、人口の大多数をアルバニア人が占めるコソボは、2008年2月に半ば強引に独立を宣言し、米国や欧州連合(EU)の大半の国など、あわせて100か国以上がこれを承認している。(c)AFP