【10月14日 AFP】米ニューヨーク(New York)市警の警官が、マリフアナ吸引の疑いがある少年に対して暴力行為を働き、この少年を気絶させた──この時の様子を捉えた動画がきっかけとなり、同市での警官による暴力を疑問視する声が再浮上している。3か月前には警官数人が6人の子どものいる黒人男性を地面に押さえつけて死なせる事件も起きていた。

 注目が集まっている動画は、ブルックリン(Brooklyn)地区でマリフアナを吸引していた疑いがある少年が、警察官による暴力行為で意識不明とみられる状態になる様子を捉えていた。この動画は瞬く間に拡散した。

 地元メディアによると容疑者の少年は17歳。6月に撮影されたという動画の中で少年は、縁石のそばにうずくまり、警官に腰のあたりを踏みつけられながら、痛みに叫び声を上げている。

 動画の少年は、「ただのたばこです」と繰り返し訴えている。少年を気絶させたとされる暴行の瞬間は、映像では分からないが、居合わせた人の「気絶させた、気絶させた」「起こせ、起こせ」という声で確認できる。

 ニューヨークの地域ニュース専門サイト「DNAinfo New York」が入手した、ブルックリンで8月に撮影された別の動画では、短時間の追跡の後、16歳と報じられている少年が顔を殴られ、拳銃で叩かれる様子が捉えられていた。

 さらに米紙ニューヨーク・デーリー・ニューズ(New York Daily News)が今週入手した動画では、ブルックリンの路上で夜間の所持品検査の際に、警官が男性から金を盗んだとされる瞬間が撮影されていた。

 地元メディアによると、この男性は1300ドル(約14万円)を盗まれ、返すよう求めたら催涙スプレーを浴びせられたと主張している。

■警官の手法に高まる疑問の声

 7月17日、6児の父であるエリック・ガーナー(Eric Garner)さん(43)が複数の白人警官に地面に押し倒され死亡した。以降、ニューヨーク市警の捜査手法に対しては、疑問の声が高まっている。

 警官らは、たばこの違法販売容疑で拘束したガーナーさんが抵抗したため、違法な「チョークホールド(首絞め)」を使って地面に押さえつけ、ガーナーさんを死なせた。

 ガーナーさんの遺族は7日、ニューヨーク市とニューヨーク市警を相手取り、7500万ドル(約81億円)の賠償を求める訴訟を起こす方針を発表している。

 ガーナーさんの死から数週間後には、ブルックリンで息子の逮捕を阻止しようとした妊娠中の女性が地面に投げ飛ばされる様子を捉えた動画が話題を集めた。この動画は9月に撮影されている。

 この他にも、9月に行われたブルックリン・ストリートフェアの終わりごろに、口論の末、地面に倒れた露天商を警官が蹴りつける様子を捉えた動画にも注目が集まっているという。(c)AFP