【10月8日 AFP】サッカー元西ドイツ代表で、国際サッカー連盟(FIFA)の役員も務めたフランツ・ベッケンバウアー(Franz Beckenbauer)氏が7日、2018年と2022年のW杯開催地決定投票について、手順は今後も「秘密」と話す一方、賄賂の申し出はなかったと強調した。

 FIFAの執行役員だったベッケンバウアー氏は、2010年に行われた2大会の候補地選びで、投票する権利を持っていた。開催地は2018年大会がロシア、2022年大会がカタールにそれぞれ決まった。

 誘致の過程については、不正と裏工作があったのではないかと今も批判が根強いが、ベッケンバウアー氏は、スポーツの安全をテーマにした会議「セキュアリング・スポーツ(Securing Sport)」に参加した英ロンドン(London)で、どのように投票したのかは「私だけの秘密だ」と話した。

 また、金銭を見返りに特定の方法で投票してほしいという打診があったのかと問われると、元西ドイツ代表の主将で監督を務めた経歴を持つベッケンバウアー氏は「はっきり『ノー』だ」と答えた。

「そんなことあるわけないだろう?私に接触してきた者はいないし、私の投票先を左右しようとして、何かを申し出てきた者もいない。そんなことは起こらなかった」

 ベッケンバウアー氏は、「秘密投票方式だったから、私もふたを開けてみなければ結果は分からなかった。私だってカタールが選ばれたことには驚いた。それが最初の感想だった。カタールの誘致努力はとても良かった。ほかのすべての国と同じようにね」

 ベッケンバウアー氏は、世界のサッカーを統括する団体であるFIFAに対し、誘致過程についての調査報告書を公開するよう求めている。

 不正疑惑については、米国の法律家マイケル・ガルシア(Michael Garcia)氏がこのほど報告書をまとめたが、FIFAのジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長は、証言者との約束を尊重し、今後も機密扱いにすると話している。

 しかしベッケンバウアー氏は、報告書は公開すべきだとの見解を示しており、「公開しない理由が見当たらない。FIFAが判断すべきことではあるが、個人的には隠すものなどないし、隠すものがないのであれば、公開し、世間の目にさらしていいと思う」と話した。

「ここ何年かで、不正や醜聞、スキャンダルなど、多くの疑惑があった。そして批判を受けている。しかし、私の知る限り証拠はどこにもない」

 69歳のベッケンバウアー氏は6月、ガルシア氏の調査への協力を拒否し、一時的に活動禁止処分を科されたが、その後は協力に同意した。

 ガルシア氏がまとめた350ページの報告書については、ベッケンバウアー氏のほかにも、欧州サッカー連盟(UEFA)のミシェル・プラティニ(Michel Platini)会長、FIFAのアリ・ビン・アル・フセイン(Ali Bin Al Hussein)副会長、ガルシア氏本人など、複数の著名人が公開を求めている。(c)AFP