【9月22日 AFP】中東イエメンで21日、イスラム教シーア派の一派ザイド派(Zaidi Shiite)の反政府勢力が首都サヌア(Sanaa)の政府庁舎を占拠した。ムハンマド・バシンドワ(Mohamed Basindawa)首相は辞任。イエメン政府と反政府勢力は同日、国連(UN)の仲介で停戦合意に署名した。

 イエメンでは、長年にわたって独裁体制を敷いていたアリ・アブドラ・サレハ(Ali Abdullah Saleh)前大統領が2012年2月に退陣に追い込まれた後、政情不安が続いている。

 サヌアでは先週、市北部でスンニ派武装組織とシーア派反政府勢力の激しい戦闘が続き、数十人が死亡。流血を止めるため仲介に乗り出した国連は20日夜、「全政治勢力による集中協議の末」に挙国一致内閣の樹立で合意したと発表したが、その後も武力衝突が続いていた。

 バシンドワ首相の辞任を明かした政府高官は、首相がアブドラボ・マンスール・ハディ(Abdrabuh Mansur Hadi)大統領を「独裁者」と非難したと述べた。

 一方、政府庁舎を占拠したザイド派の武装勢力「アンサルラ(Ansarullah、別名:フーシ、Huthis)」は、交流サイトのフェイスブック(Facebook)で「軍と治安部隊の上層部が大衆の反乱を支持している」と表明。この中には「軍総司令部やラジオ」、政府関係者も含まれると主張した。

 ハディ大統領は、反政府勢力の攻撃を「クーデターの企て」だと非難したが、緊縮財政を強行し不人気のバシンドワ内閣に代わり、反政府派を含む新内閣の組閣に同意。国営サバ(Saba)通信によると、21日夜に「大統領府で国民対話会議を開いた結果、平和と共存についての国民合意」が結ばれ、大統領と国連特使、各政治勢力の代表の出席の下で署名式が行われたという。(c)AFP/Hammoud Mounassar