■航空作戦の強化

 米軍が8月8日からイラクで開始した空爆は今のところ、1日平均10回程度の限定的な攻撃にとどまっている。

 だが、オバマ大統領の空爆拡大の方針発表を受け、攻撃のペースは今後、加速していくと予想され、欧州の同盟国の一部も参加する構えを見せている。フランスが既に参加に向けて準備を進めていることを明らかにしているほか、英国もこれに続く可能性がある。

 イラクでの空爆によって勢いを削がれているイスラム国への圧力を強めるため、米国とその同盟国の空軍機の出撃頻度と、標的となる可能性のある対象の数は今後、増加していくと予想される。

 航空作戦の拡大には、米政府が周辺国の基地の利用許可を取り付ける必要があるが、これは中東諸国の各政府にとって常にデリケートな問題だ。

■現地部隊に対する訓練と武器供与

 オバマ政権は航空作戦に加え、最終的にはイスラム国を撃退できるだけの地上部隊を国内に構築したい考えだ。

 イラクに対しては、米国は既に300人近い軍事「顧問」を派遣し、イスラム国の攻勢によって大きな痛手を負った治安部隊の再編制を支援している。米国を含む各国の政府は今後も、イラク政府と同国北部クルド人自治政府の治安部隊ペシュメルガ(Peshmerga)への訓練と武器の提供を継続するとみられる。

 一方のシリアでは、穏健派の反体制勢力を対象とした訓練と武器の提供も優先事項となる。だが、米政府関係者の間では、シリア国内に無数の勢力が展開していることや、内戦の多面性からみても、こうした努力が成果を生むまでには幾年もかかるとの見方が出ている。(c)AFP