【9月11日 AFP】米ハリウッド(Hollywood)映画界で、美しさの定義を「ありのまま」であることと再解釈する動きが広まっているようだ。カナダ・トロント(Toronto)で開催中のトロント国際映画祭(Toronto International Film festival)で8日にプレミア上映が行われた新作映画『Cake』では、米女優ジェニファー・アニストン(Jennifer Aniston)がノーメークでの演技を披露している。

 撮影では「すべての瞬間を本当に楽しめた」とアニストンは言う。「ものすごく解放感を味わえた。私たち女性はカメラの前でもショッピングに出かける時も、何をする時も女としての期待に応えなければと感じて生きてきたから。でも本当は、それは実の姿じゃない。私たちハイヒールを履かない時だってあるし、いつもバッチリ決めた髪型やメイクをしてるわけでもない」

 45歳のアニストンは今回の作品で、持病の慢性疼痛による不愉快な性格のために友人が皆離れていき、生きる目的を失った女性を演じている。脂ぎった髪にノーメークというさえない姿をさらけ出す、女優としてリスクの高い役だ。

 8日夜のプレミア上映で観客からスタンディングオベーションを送られたアニストンは、「美しさには、さまざまな形があると思う。苦しみや悲しみ、そして授賞式にも、あらゆるものの中に美が存在していると私は思うの。それを表現することが(『Cake』では)大事なことだった」と語った。

 『Cake』のダニエル・バーンズ(Daniel Barnz) 監督も、「世界で最も美しい女性の1人がメークを一切しない姿を見るのは特別な経験だった。この映画のなかで美とは内面から湧き出るものだと見せてくれた彼女(アニストン)を、これまでで一番美しいと感じたよ」と語った。

 アニストンだけでなく米女優リース・ウィザースプーン(Reese Witherspoon)も新作映画『Wild』でノーメークの演技に挑んでいる。撮影期間中、ウィザースプーンはジャンマルク・ヴァレ(Jean-Marc Vallee)監督から鏡での姿チェックさえ禁止されたという。(c)AFP/Michel COMTE