【9月8日 AFP】(写真追加)地中海(Mediterranean)を命がけで渡った密航者たちが押し寄せるイタリアで、非常にまれな、心温まる出来事があった。

 イタリア海軍のフリゲート艦「ユーロ(Euro)号」の乗組員らは6日、シチリア(Sicily)島南西部の沖合で非常事態に陥っていた密航船とみられる船を救助し、妊娠していた若い女性の出産を手助けした。

 船上で生まれた女児はヤンバンビ・イェーテ(Yambambi Yete)ちゃんと名付けられ、報道によれば母子ともに健康状態は良好だという。

 ユーロ号は7日にレッジョ・カラブリア(Reggio Calabria)南部の港に入港し、女児とガンビア出身の母親は、健康診断のために病院へと搬送された。

 法律的に言えばこの女児はイタリアの主権が及ぶ領海内で生まれたことになり、親子が欧州に留まることを認められる可能性が高まることになるかもしれない。

 母国での苦境から逃れようと、アフリカ諸国からイタリアへの入国を試みる密航者たちの多くは、密航あっせん組織が手配した、航海に適さない船に詰め込まれて運ばれることになる。

 今回のガンビア出身の母子も、ユーロ号によって救出された600人以上の密航者グループの一員だった。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、今年だけで既に10万人以上がイタリアへの密航を試み、その途上で2000人近くが死亡したという。(c)AFP