【9月8日 AFP】台湾で、廃油を原料として作られた違法な食用油が広く流通していた事実が発覚し、食の安全についての懸念が広まっている。当局は7日、問題の油が台湾全土900件以上の飲食店や菓子店で使用されていたことが分かったと発表した。

 台湾当局は先週、同事件をめぐり、台湾南部・屏東(Pingtung)にある密造工場のオーナーで、事件の中心人物とされる郭烈成(Kuo Lieh-chen)容疑者(32)ら関係者6人の身柄を拘束した。郭容疑者は他の5人とともに保釈金を支払い一端釈放されていたが、当局は郭容疑者が逃亡、または他の容疑者らと共謀を図る恐れがあると判断し、6日に同容疑者の身柄を再び拘束した。

 台湾衛生福利部食品薬物管理署(Food and Drug Administration)は7日、食用油製造大手「強冠(Chang Guann)」が出荷した廃油の再利用油を使用していた飲食店・菓子店・食品工場は、台北(Taipei)市内の397件を含む台湾全土の933件に上ると発表した。

 捜査当局によると、強冠は今年2月から6か月間、使用済みの揚げ油やグリース・トラップ(厨房排水中の油脂を分離する装置)にたまった油脂などの廃油から作った再利用油243トンを郭容疑者から購入し、ラード(豚脂)と混ぜて台湾全土の飲食店などに販売していた。この方法で製造された油は782トンに上る。

 強冠は謝罪したものの、購入した油の原料が廃油だとは知らなかったと主張している。捜査当局は4日に強冠を捜索し、これまでに再利用油49トンを押収。強冠から食用油を購入した飲食店や工場に対し、再利用油を使用した可能性がある製品を回収するよう呼び掛けている。(c)AFP