【9月2日 AFP】2017年の香港(Hong Kong)行政長官選挙をめぐり、中国政府が「完全な形での普通選挙」導入の要求を事実上拒否したことを受け、民主派の活動家らが金融街・中環(Central)地区を占拠する可能性を示唆するなど、香港は中国への返還以来、最悪の政治危機を迎えている。

■なぜこうした対立が起きているのか?

 高度な自治権を享受してきた香港市民らの不満は、ここ数年で最悪のレベルに達している。格差の拡大、本土住民との間で起きている資源の競合、生活費の上昇などがその一因だ。

 だが現在の危機的状況は、中国政府による半ば「政治的な干渉」や、次回の行政長官選挙の制度改革をどういった形で実施するかといった問題と複雑に絡み合っている。

■両者の意見の違いは何か?

 梁振英(Leung Chun-ying)香港特別行政長官および前任者は、いわゆる「親中派」が占める選挙委員会によって選出。中国政府は2017年までに「完全な形での普通選挙」制度を導入すると約束したが、その範囲をめぐる意見の不一致が拡大している。

 中国政府の案は、行政長官選挙で「一人一票」の投票方法を採用するとしているが、その内容は、指名委員会で過半数の支持を得た候補者2、3人のみが立候補できるものになるとみられている。

 民主派の大部分にとっては、このような選挙制度は到底受け入れることができない。指名委員会自体が、中国政府の意向を色濃く反映したものとなることは避けられず、それによって共産党に批判的な候補者の立候補はほぼ不可能になり、本来の普通選挙の定義から逸脱したものになると容易に考えられるからだ。