■「リクライニングは悪」? 廃止の航空会社も

 米国ではここ1週間、窮屈な座席を皮肉たっぷりに非難する声などが沸騰。脚が長すぎる人々と、その前列で背もたれを倒して(大概がわざとではないものの)膝に一撃を加える人々とが繰り広げる闘争について、双方を擁護するコメントが見られた。

 ウェブサイト「Gawker.com」は先月29日、「リクライナーとレッグルーマーの間で勃発した戦争はますます激化している」と冗談めいて書いている。

 オンライン雑誌「スレート(Slate.com)」のダン・コイス(Dan Kois)氏は「機内で背もたれを倒す行為は、まぎれもない悪だ」と断じ、「見かけはいい人そうな学校教師の背もたれが、私のあごのすぐそばまで迫るため、ほぼ寄り目状態でテレビを見なければいけない」という状況でのフライトについて記している。

 一方、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)のジョシュ・バロー(Josh Barro)氏はリクライニングを擁護し、「私は頻繁に飛行機を利用するが、いつも席を倒す。罪悪感はない」と書いている。

 事実、米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)が2013年10月に実施した調査では、エコノミークラスのスペースは、より高い料金を支払うファーストクラスやビジネスクラスの乗客のスペースを広げるために削減されていることが分かっている。

 同紙によれば、長距離線の標準的シート幅は1970年代~80年代は46センチで、その後一時的に47センチまで広がったものの、近年では43センチにまで縮んだという。一方、米国内の鉄道では、一般的に50センチ前後の間隔が取られている。

 この論争に終止符を打つべく、イージージェット(easyJet)やライアンエア(Ryanair)といった格安航空会社は、短距離路線でのリクライニングを廃止した。