■村総出で抗議、ダンロップ家の言い分は

 かつて仏大統領府を警備する共和国親衛隊の隊員だったガックさんによれば、地元憲兵隊の監視の下「みんなが集まって、この恐ろしい隣人に対して大声で叫んだり、口笛を吹いたり」して抗議した。その後、役人の到着を待ち、ダンロップ夫婦の行ったことを見せてからレンガ壁を撤去し、ふさがれたドアや窓を解放したのだという。

 南仏オード(Aude)県にあるブルゲロル村は、キリスト教異端とされるカタリ派の里の一つといわれ、中世には情け容赦ない異端審問によって迫害された住民数百人が洞窟や家に幽閉されるなどして殺害された皮肉な歴史を持つ。現在の人口は258人で、うち40人ほどが英国人だ。

 アラン・ラバテュ(Alain Labattut)村長によると、2004年にブルゲロル村に移り住んだダイソン夫婦は、その翌年に移住してきたダンロップ夫婦から数年にわたって嫌がらせを受けてきたが、今年3月以降、状況は悪化した。「2人は恐怖にさらされていた」との村長の発言に、別の村人がうなずいた。

 村長の話では、ダイソン夫婦は村でも非常に評判が良く、一方のダンロップ夫婦は他の住民ともいざこざを起こすなどあまり評判は良くなかった。スコットランド出身のロバート・ダンロップさんは、これまでに3回毒を盛られたと主張し、仏法相や英グラスゴー(Glasgow)警察に直訴したこともあるという。

 村人の抗議デモの間、自宅に閉じこもって取材を拒否していたダンロップさんは、AFPの英語での質問に「私は聴覚障害者だ。あなたが何を言っているのか、私には聞こえない」と答えた。(c)AFP/Béatrice KHADIGE