■軍の余剰武器を警察に与える「1033プログラム」

 多くの国民は、1990年代に始まった「1033プログラム」が現在の状況を作り出したと考えている。この枠組みにより、国防総省は軍レベルの装備の余剰品を、米国全土の警察に寄贈し、いわばリサイクルすることができる。ファーガソンの警察も、この枠組みの恩恵を受けたおよそ8000の地方警察のひとつだ。

 米国自由人権協会(American Civil Liberties UnionACLU)のカラ・ダンスキー(Kara Dansky)さんは、「1033プログラムが始まって以降、地域の警察は戦闘用に作られた武器や備品をため込んでいる」と語った。ダンスキーさんは、以前よりも頻繁に警察特殊部隊(Special Weapons and TacticsSWAT)が出動している現状についても、その大半は正当化できないと指摘する。

「2年間にSWATが出動した800例以上を調査したところ、本当の緊急事態といえるのはたったの7%だった。約8割は、少量の禁止薬物などを探すための家宅捜査などだった」

 一方、アラバマ(Alabama)州カルフーン(Calhoun)郡のラリー・アマーソン(Larry Amerson)保安官は、1033プログラムを歓迎する。同郡では、地雷にも耐えられるMRAP装甲車1台を得たばかりだ。

「2000年に、精神的に錯乱した男が3人の警官を撃つ事件があった。撃たれた警官らのもとに仲間を送りたかったが、武装した男が銃を撃ち続けていたために近づくことができなかった。自分たちを守ることができなかったから負傷者のもとにかけつける術がなかった。装甲車があれば、そういった危険な状況にも立ち向かうことができる」

 2016年の大統領選への立候補が取り沙汰されている共和党のランド・ポール(Rand Paul)上院議員はこの状況に懐疑的だ。

 同議員は米誌タイム(Time)への寄稿で、「警察には治安を守るという正当な役割があるが、警察と軍の対応は違ったものであるべきだ。ファーガソンで見られた状況は警察行動というより戦争のようだ」と述べ、連邦政府は地方警察の「ミニ軍隊」化を後押ししてしまったと指摘した。「それは大半の米国民が考える警察という概念をはるかに超えてしまっている」(c)AFP/Guillaume DECAMME