【8月13日 AFP】米カリフォルニア(California)州南部で、汚染問題や絶滅が危ぶまれるクジラへの懸念に対し、金銭的誘因を提供することで海運大手6社に航行速度の低下を促すことができたと、環境団体が発表した。

 海運各社は、同州南部近海のサンタバーバラ海峡(Santa Barbara Channel)を通過するたびに2500ドル(約26万円)を受け取るという条件で、航行速度を通常の14~16ノットから12ノット以下に低下させることに合意した。

 このプログラムは今月、サンタバーバラ郡大気汚染規制区域(Santa Barbara County Air Pollution Control District)、環境保護NPOの環境防衛センター(Environmental Defense Center)、米海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric AdministrationNOAA)のチャネル諸島国立海洋保護区(Channel Islands National Marine Sanctuary)が発表した。

 12ノット以下への速度の低下はスモッグの排出を低下させるだけでなく、海洋専門家によるとクジラとの衝突事故を防ぐことができる。

 クジラと船舶の衝突事故により、毎年1~3頭のクジラが死んでいるが、環境活動家によればもっと多くのクジラが死んでいるものの死骸が発見されていないだけの可能性が高いという。

 サンタバーバラ海峡を通過するコンテナ船は1年あたり2500隻。4日の発表によると試験期間は7月1日からすでに始まっており10月31日まで続く。この期間は、同海峡でクジラが最も忙しく活動する期間であるとともに、高レベルの大気汚染が発生する最盛期でもあるという。

 このプログラムは、ロングビーチ(Long Beach)港とロサンゼルス(Los Angeles)港ですでに実施されている別のプログラムをモデルにしたもので、両港では海運会社の90%がプログラムに参加している。(c)AFP