【7月29日 AFP】マレーシアの首都クアラルンプール(Kuala Lumpur)と周辺地域およびボルネオ(Borneo)島は29日、海を隔てた隣国インドネシアでの森林火災に起因する煙霧に覆われ、大気質が「極めて有害」なレベルに達した。

 クアラルンプールでは視界不良な中、煙霧を防ぐべくマスクを着用する市民らの姿がみられた。

 50の観測所中、9か所で大気汚染指数(Air Pollutant IndexAPI)が「有害」なレベルを指す100を超えた。

 ボルネオ島サラワク(Sarawak)州のシブ(Sibu)では28日、APIが「極めて有害」なレベルの200を超えたが29日朝には、わずかながらも数値は下がった。

 APIが300を超えると「危険」なレベルとなるが、マレーシアでは昨年6月、南部の町で750を記録。過去16年で同国最悪レベルの大気汚染となり、各地域に非常事態宣言が出され、学校は休校措置がとられた。汚染元のインドネシアとの関係も悪化した。

 雨の少ない夏季に、マラッカ海峡(Malacca Strait)を隔てたインドネシア・スマトラ(Sumatra)島で発生した森林火災の煙が季節風にのって流れてくる煙霧は、マレーシアやシンガポールで毎年、問題となっている。

 森林火災の原因は主にパーム油の原料となるアブラヤシの耕作地を開墾するための焼き畑だ。焼き畑は違法とされているが、アブラヤシプランテーション(大農園)の安価な開墾法として広大な熱帯雨林や泥炭地で行われている。

 インドネシア当局は先月、昨年の煙霧問題の中心となったスマトラ島リアウ(Riau)州で森林火災が急増していることからマレーシアとシンガポールに煙霧被害がおよぶ恐れがあると警告していた。

 通常は熱帯地方特有の激しいスコールで有名なマレーシアだが、今年は干ばつに見舞われており、クアラルンプールを囲む経済の中心地であるスランゴール(Selangor)州などでは給水制限が出される事態となっている。(c)AFP