【6月20日 AFP】インドネシアのスマトラ(Sumatra)島で発生した山火事が原因の煙霧により、大気汚染指数が「危険」水準に達したシンガポール政府は20日、インドネシア政府に「決定的な対応」を要求した。これに対しインドネシア政府は同日、シンガポールの反応は「子供っぽい」と非難。10年以上ぶりの煙害をめぐり、両国間で舌戦が展開されている。

 スマトラ島からの煙霧に覆われたシンガポールの大気汚染指数は、20日午後1時までに過去最高値の371を記録した。同指数は200を超えると「有害」、300で「危険」、400以上は「病人と高齢者の命にかかわる」とされている。

 こうした状況を受けインドネシアの首都ジャカルタ(Jakarta)で同日、煙害への対応を協議する周辺国会合が開催されるのに先立ち、シンガポールのビビアン・バラクリシュナン(Vivian Balakrishnan)環境・水資源相は、インドネシア政府に「緊急かつ決定的な対応」を要求。「シンガポール市民の忍耐も限界だ。当然ながら怒り、苦しみ、憂慮している」「いかなる国も企業も、シンガポール市民の健康を犠牲にして大気を汚染する権利はない」と米SNSフェイスブック(Facebook)への書き込みで批判した。

 一方、インドネシア側も同日、直ちに反論。アグン・ラクソノ(Agung Laksono)調整相(公共福祉担当)は「シンガポールの振る舞いは子供じみている。がたがた大騒ぎすべきではない」と苦言を呈し、山火事による煙害は「インドネシアが意図したものではなく、自然がもたらしたものだ」と弁解した。

 また現在、煙害の責任を負うべき企業について調査中だと説明した上で、現地ではインドネシア企業の他にシンガポールやマレーシアの企業も操業しているとけん制。煙霧対策をめぐるシンガポールの財政支援についても「少額なら不要」と強がった。(c)AFP