■米国の覇権への挑戦

 訪問日程がブラジルで重なった習主席とプーチン大統領は、日本の同盟国・米国による周知の支配に対し中南米地域が持つ反感にアピールした。ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5か国「BRICS」の首脳会議(サミット)では欧米中心の世界銀行(World Bank)と国際通貨基金(IMF)に対抗し、当初資本金500億ドル(約5兆円)の新開発銀行と1000億ドル(約10兆円)の外貨準備基金の設立を発表した。

 習主席はまた、中南米のインフラ事業資金調達を目的とする200億ドル(約2兆円)規模の投資基金創設を提案し、同地域の首脳たち相手に「求愛外交」を繰り広げた。同じ共産圏のキューバではニッケルの通商協定や、メキシコ湾(Gulf of Mexico)のキューバ領海における石油の合同探査について調印した。

 一方、ロシアと中南米の貿易は中国との関係ほど規模は大きくないが、ウクライナ危機をめぐりEUと米国がロシアへの扉を閉ざす中、露政府には支えが必要となるだろう。ロシアは中南米地域との関係強化のために、BRICSグループの一角としての自らの役割を生かしたがっている。(c)AFP/Guillermo BARROS