【7月18日 AFP】ブラジルで開かれた新興5カ国(BRICS=ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会議(サミット)に出席した中国の習近平(Xi Jinping)国家主席が、中南米各国の首脳と精力的に会見し、巨額のインフラ支援などで相手を魅了する求愛外交を繰り広げている。

 国賓としてブラジルを訪問した習主席はサミット終了後の17日、首都ブラジリア(Brasilia)へ移動。迎えたジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)大統領と数多くの協定に調印し、さらにキューバのラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長などBRICS拡大会合に参加した中南米の指導者たちと次々に会談をもった。

 ルセフ大統領はサミット終了後、中南米のインフラ事業資金調達を目的とする200億ドル(約2兆円)規模のファンド創設が中国から提案されたと語った。また習主席は、中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)の加盟諸国に最大100億ドル(約1兆円)の融資を申し出た。また中国と中南米の間の協力に向け50億ドル(約5000億円)の基金も創設される。

■新興大国BCの取引

 今年国交40周年を迎える中国とブラジルの間では、大きな協定がいくつも調印された。その中の一つでは、複数の中国企業がブラジルの航空機大手エンブラエル(Embraer)のE190型旅客機60機、計32億ドル(約3200億円)相当を購入する合意が交わされた。

 両国は鉄道事業や海運事業で協力していく点でも合意し、これは資源に飢えている中国に対するブラジルの輸出を促進するだろう。まず、中国の輸出入銀行がブラジルの資源開発大手バーレ(Vale)に向こう3年間で計50億ドル(約5000億円)の融資を行うことが決定。中国へ鉄を輸出している同社はこの資金で輸送船の購入や貸借ができるようになる。また鉄道事業の協力協定では、ブラジルは広大な領土を通って南米大陸を横断し、ペルーの太平洋岸へと抜ける鉄道の建設を期待している。

 中国の検索サイト「百度(バイドゥ、Baidu)」はすでに、ブラジルが公用語とするポルトガル語版を立ち上げている。ルセフ大統領は「両国の関係は真の戦略的パートナーシップを表すもので、多様な協力分野において前例のないスピードで発展している」と語った。