【7月29日 AFP】米政府高官は28日夜、ロシアがソ連時代の1987年に米国と交わした「中距離核戦力(INF)廃棄条約(Intermediate-Range Nuclear Forces Treaty)」に違反し、地上発射型巡航ミサイルの試射を実施していたことを明らかにした。

 同高官がAFPに語ったところによると、ロシアのINF条約違反は2014年度版報告書のなかで明らかにされたもの。INF廃棄条約は、米ソ間で射程500~5500キロの地上発射型ミサイルについて製造および保持を禁じている。

 同高官はこの問題を「非常に深刻なもの」としており、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領はウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領にこれに関する書簡を送付。米政府はロシアとの高官協議の即時開催を準備している。これには、米下院や同盟諸国も歩調を合わせているという。

 今年1月には、ロシアが2008年に新型の地上発射型巡航ミサイルの試射を行っており、国務省の軍縮担当者も2013年5月以降ロシア政府との対話で重ねてINF問題をとりあげていたとの米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の報道を受け、米国務省のジェン・サキ(Jen Psaki)報道官がロシア政府に対し懸念を表明していた。

 中距離地上型の発射弾道ミサイルおよび同巡航ミサイルの全廃を求めたINF廃棄条約には、当時のロナルド・レーガン(Ronald Reagan)米大統領とミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)ソ連書記長が署名した。(c)AFP