【7月27日 AFP】乗客乗員298人を乗せてウクライナ東部の親ロシア派支配地域に墜落したマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH17便に乗っていた女性の両親が26日、犠牲者の親族としては初めて墜落現場に足を踏み入れた。

 墜落現場付近では、ウクライナ軍と親露派武装勢力の双方が停戦を宣言しているが、そこから60キロメートルほど離れた場所では激しい戦闘が続いており、親露派の拠点があるドネツク(Donetsk)の西と北の郊外では、大きな爆発音が一定の間隔で鳴り響いている。

 オーストラリア人のイェルジ・ディジンスキー(Jerzy Dyczynski)さんとアンジェラ(Angela Dyczynski)さん夫妻はこの日、事故で亡くなった一人娘のファティマ(Fatima Dyczynski)さん(25)との約束を果たすためとして、安全上の警告を無視し、付き添いなしで墜落現場を訪れた。

 アンジェラさんは、航空宇宙工学を学ぶ学生だったファティマさんについて、「元気いっぱいだった」と話す。

「Fatima: We Love You(ファティマ、あなたを愛している)」と書かれたTシャツを着たディジンスキーさん夫妻は、飛行機の残骸や焼け焦げた土の間を歩き、残骸の1つに大きな花束を置いた際、感情を抑えることができなかった。

 墜落現場から収容された遺体の身元の確認を担当するオランダ政府は同日、法医学専門家チームが同機に搭乗していたオランダ人193人のうちの1人目の身元を特定したと発表した。

 墜落したMH17便の調査はウクライナ東部の戦闘によって妨げられている。オランダの専門家チームは同日、現場を訪れようとしたが安全上の懸念から途中で引き返した。(c)AFP/Dario THUBURN with Oleksandr SAVOCHENKO and Hui Min NEO in Kiev