【7月24日 AFP】ウクライナ東部でのマレーシア航空(Malaysia AirlinesMH17便撃墜は、ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)米大統領(当時)が上空での「虐殺」と呼んだ旧ソビエト連邦軍による1983年9月の大韓航空(Korean Air)機撃墜事件を思い起こさせる。

 大韓航空007便は攻撃されて日本海に墜落し、今回のマレーシア機と同じく搭乗していた乗客乗員合計269人全員の命が失われた。

 この2つの惨事の共通点は特筆に値する。

 両方の惨事とも、アジアの航空機が軍事兵器により撃墜されたが、撃墜には直接的もしくは間接的にロシアが関与したとされている。

 また両方の惨事とも米露(米ソ)関係が緊迫していた時期に発生し、両国が事態の責任をめぐって非難の応酬を続け、回収作業と原因究明に大きな支障を招く結果となった。

 さらに、非難合戦と、国際社会の反応を色づけたより大きな地政学的な配慮が、何の過失もなく命を奪われた数百人もの人々の悲劇を少なからずかすませた。

 大韓航空機撃墜の数か月前、レーガン大統領はソ連を「悪の帝国」と呼んで非難するとともに、主要マスコミの間で「スターウォーズ計画」と呼ばれた「戦略防衛構想(Strategic Defence Initiative)」を発表した。ソ連はこの構想を超大国2国の核バランスを不安定化させる危険な政策転換だとみていた。