■「空飛ぶ万里の長城」、実情と見通しは

 中国では1970年代から、国産ジェット旅客機の自主開発に力を注いできた。しかし、ジェット旅客機「Y-10」は機体が重すぎて商用飛行には向かず、わずか3機で開発は中止された。

 その中国も、いまや世界第2位の経済大国。外国企業から技術供与を受ける合弁で自動車産業を築き上げ、世界最大規模の高速鉄道網を完成させ、有人宇宙飛行も成し遂げた。COMACのために特別に制作された愛国歌は、C919を「空飛ぶ万里の長城」とうたう。

 中国はC919について、自力で開発・製造する国産機だと主張しているが、実際は外国企業が部品供給などプロジェクト上の重要な役割を担っている。新型エンジン開発を手掛けたのは、米ゼネラル・エレクトリック(General ElectricGE)と仏スクネマ(Snecma)による合弁企業、CFMインターナショナル(CFM International)だ。

 COMACによれば、既に400機を受注した。受注先の大半は中国国内のリース会社で、海外からの注文はGE傘下の航空機リース会社、GEキャピタル・アビエーション・サービス(GE Capital Aviation Services)の1機のみだという。C919は米連邦航空局(Federal Aviation AdministrationFAA)の承認を取得していないため、航空各社が発注をためらっている事情もあるようだ。

 とはいえ、エアバスの戦略担当者は7月上旬、仏紙トリビューン(Tribune)に「中国の脅威を侮ってはならない」「我々は、融資面では中国に敵わない。技術面でのリードによってアドバンテージを保っているだけだ」と、警戒感をあらわに語っている。(c)AFP/Bill SAVADOVE