【7月22日 AFP】米コーヒーチェーン大手スターバックス(Starbucks)と、高品質カプセルコーヒーで世界市場をリードしているネスプレッソ(NESPRESSO)が、世界有数のコーヒー生産・輸出国であるコロンビアに進出し、南米市場での足掛かりをつかもうとしている。

 コロンビアの2014年第1四半期の経済成長率は6.4%。高い成長率に目を付けたスターバックスとネスプレッソは、従来のものよりも若干高めのコーヒーを求める消費者をターゲットに新たな市場開拓を目指すという。スターバックスは今月中旬、ボゴタ(Bogota)に店舗をオープンさせている。

 ネスプレッソを展開しているスイスの食品大手ネスレ(Nestle)の海外マーケティング部門責任者、モニカ・アコスタ(Monica Acosta)氏は、「コロンビアの経済成長や、コロンビア人の海外渡航者とコロンビアを訪れる外国人旅行者の増加で、コロンビアが世界的に有名なブランドに触れる機会は過去に例を見ないほど増えている」と述べる。

 アコスタ氏はまた、コロンビアの市場では国内ブランドが圧倒的なシェアを占めているため、事業の成功が保証されているとは言えないとしながらも「商機は大きい」と強調した。

 コロンビアはブラジル、ベトナムと並ぶ世界有数のコーヒー輸出国で、2013年の生産量115万袋(1袋=60キロ)の大半は輸出向けに振り分けられた。一方、国内のコーヒー需要も増加しており、コロンビアのコーヒー生産者と小売企業が出資する「ドリンク・コーヒー・イニシアチブ(Drink Coffee initiative)」によると、10~13年の伸び率は2.7%。朝のコーヒーのほか、午後にフラッペやカプチーノなどの新しい飲み方を楽しむ中所得者層の間で伸びが顕著だという。

 スターバックスとネスプレッソは、外資参入に対する批判の抑制を図り、有力な国内のコーヒー生産者の反発を招くことを警戒しながら、コーヒー豆をコロンビアで調達することを確約。スターバックスは、コロンビアで提供・販売するコーヒー飲料やコーヒー豆について「100%コロンビア国内で焙煎する」と明言。一方のネスプレッソも、コーヒーカプセルの80%にコロンビア産のコーヒー豆を使用する方針を打ち出した。

■地場有力チェーンのシェア圧迫か

 新規参入組のスターバックスとネスプレッソを待ち受けているのは、コロンビアで約200店舗を展開する国内のコーヒーショップチェーン「フアン・バルデス(Juan Valdez)」とのシェア争いだ。ファン・バルデスのロゴに描かれている口ひげを蓄えた農夫とラバのコンチータの絵柄は1950年代に誕生。この絵柄のキャラクターは国民的なシンボルでもあり、コロンビア産コーヒーの海外向けの宣伝にも使用されている。

 首都ボゴタ(Bogota)にあるフリオ・ガラビート工科大学(Julio Garavito School of Engineering)経済学センターのディレクター、エドアルド・サルミエント(Eduardo Sarmiento)氏は、スターバックスとネスプレッソの参入により、フアン・バルデスの市場シェアは遅かれ早かれ縮小するとの見通しを示している。

 サルミエント氏によると、フアン・バルデスは02年に1号店を開店してから総額2000万ドル(約20億2000万円)の利益を計上しているが、コーヒー飲料の販売から得られる収益はさほど大きくない。同社の主要事業はあくまで「コーヒー豆の生産」であり、消費者への直接販売から得られる収益は非常に少ないと説明した。(c)AFP/Paula CARRILLO