【7月21日 AFP】ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦(1992年~1995年)で死亡した犠牲者のうち新たに遺体が見つかった284人の葬儀が20日に行われ、数千人が参列した。遺体は2013年に発見された同国最大規模の集団墓地から見つかっていた。

 参列したスアド・タタレビッチさん(48)は、虐殺で殺害された親族約40人を埋葬するため、同日の葬儀に訪れた。「これでようやく安心できる」と述べ、ようやく墓参りができるようになったと棺の前にひざまずいてつぶやいた。

 1992年7月22日、住んでいたジェコビ(Zecovi)村からタタレビッチさんは逃げのびたが、父親と6人の兄弟は捕えられ、民族浄化作戦の一環として内戦初めにボスニアのセルビア人勢力により殺害された。

 彼らの遺体は、同国北西部にある旧鉱山から発見された。国内最大規模の集団墓地からは、遺体数百体が見つかっている。

 見つかった遺体の多くは男性のものだったが、その中には女性3人と当時13歳から17歳まで十代の若者12人のものも含まれていた。

 遺体は全て、クロアチア人1人のものを除き、周辺の町村出身のイスラム教徒らのものだった。

 葬儀では、同国の大ムフティー(イスラム教の最高位法学者)フセイン・カバゾビッチ(Husein Kavazovic)師が祈りを捧げ、それぞれの棺は同地域全体の各出身地の村の墓地へと運ばれて行った。

 同師は集まった人々に、「この殉教者の谷では、沈黙は言葉に勝る。集団虐殺がこの地で行われたのだ。この罪悪に我われは皆、衝撃を受けている」と語り、一部の人たちは「神は偉大なり」の唱和で応えた。

 内戦初期、同地域では約3500人が死亡し、ボスニア全体では10万人が犠牲となった。未だ地元住民700人の行方が分からないままとなっている。(c)AFP/Rusmir SMAJILHODZIC